不意に近くにある複合機が動き出した。

突然のそれにあなたは一瞬体を震わせて驚き、しかしそれがあなたの思考を冷静に戻した。

ふと今考えていたことを反芻すれば、頬が赤くなるほどの衝撃だった。

高鳴った鼓動が羞恥のあおりをうけてさらに強く心臓を叩く。

できる限り周り冷静を装い回りに悟られないように努めながら、あなたは席についた。

あなたに振り分けられた仕事はほぼ終盤を迎えており、あとは圧縮しようのない、時間をかけなければならない確認作業だけだった。

それでも修正点はたいして発見されず、上司に報告すると作業が残っている同僚のを片付けてしまうよう指示を受け、そしてそれも間もなく終了した。

上司は残業の労をねぎらう言葉をかけ、その日の業務は終わりを告げた。

最後に上司から、週末前の今度の金曜日は、このイレギュラーの対応に尽力してくれた慰労ということで業務を少し早く終了し、定時までの間慰労会をしようという提案があり、それも了承された。

ほんの1時間程度の慰労会だが、疲労したメンバーの士気を週末まで持たせるには、非常に有効的だ。

さすがのあなたも疲労と眠気を覚え、職場を後にするとまっすぐに帰路につく。

途中、何とか終電に乗れたあなたは、スマホを取り出しメッセージを確認する。

残業が発生したことを伝えられた交際相手からは、労をねぎらい励ます言葉とスタンプが添えられ、応援している気持ちがよくわかる。

一方、男にも連絡が遅なることを伝えていたが、そこにはただ一言“気合いで”とだけ書かれていた。

あまりにも対照的な対応に、あなたは思わず笑みをこぼした。

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付けるリードは男から。必ず使用しましょう。



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